2024年8月6日 5:22
おはようございます。おいかわです。
今日はいよいよ四国遍路の中ボスである、44番霊場『大寳寺(だいほうじ)』に挑みます。
霊場も半分に差し掛かる今日ですが、お遍路を始めた当初は自分がここまで来れる自信は全くありませんでした。
途方も無く続く道のりに何度も溜息をつき、心身をおろし金で削られるような過酷さに打ちひしがれる日々。その日を乗り越えるのに精一杯で、地図を広げて持つ左手の厚みがちっとも薄くならないことに毎夜落胆していました。
ですがどんなに小さな一歩でも、ちゃんと歩いていればゴールへの距離は必ず短くなっていくものですね。当たり前と切り捨てればそれまですが、僕にとっては何よりも信頼できる事実であり、自信です。
( ^ω^)果てしなかったお遍路も、ついに折り返しになるのか...
( ^ω^)実に感慨深いおwwwww
『世界が起き、キラキラと夜露が輝き、ゆっくりと、しかし早く昇る太陽。30分ほどで終わってしまうショーをこんなところで過ごせるなんて、とても幸せなことだ』日記より
( ^ω^)やっぱり朝のこの時間、好きだお
( ^ω^)今日は山道を歩くことになるけど、頑張れそうだお!
6:11
夜の間に冷やされた空気があたりに立ち込めています。
山に向かうに連れ標高も少しずつ高くなり、昨日の早朝よりもひんやりとしていて気持ちいいです。
歩いていると紫陽花を見つけました。もう8月だというのに季節外れもいいところですね。
ここ内子を過ぎると久万高原という山に囲まれた町に出るみたいですが、この町の標高は600mと高く、その影響で気温が下がっているのかもしれません。
いずれにせよ、アチアチ炎天下の中を歩かなくていいのは嬉しいです。
7:21
『胸を、脚を叩き、己を鼓舞する。大丈夫、きっと自分ならできる。そう何度も自分に言い聞かせて足を踏み出していった』日記より
( ^ω^)ここからついに山道か...
( ^ω^)よっしゃ!頑張るお!
うねうねと蛇のように上へ伸びるアスファルトを遍路道は縦一直線に串刺し、そこを強引に登っていきます。
当然勾配はエラいことになり、全身から汗がブシャッと音を立てるように染み出してきました。
(;^ω^)ハァハァ...
(;^ω^)こ、こりゃなかなかだお...
(#^ω^)ハァハァ... にしても虫が邪魔臭いんだお
7:48
(;^ω^)お?山道はおしまいかお?
(;^ω^)ふぅ、一旦休憩できるお
なだらかな下り道になりました。
まだまだ山道も勾配もあるとは思いますが、焼山寺くらいの過酷さを覚悟していたので、意外にも歩きやすい道のりに驚いています。
ただ、数十匹のメマトイが顔の周りを飛び回るのはホント勘弁してほしいです。
野鳥やセミの音に耳を澄ませながら、森林浴を楽しみます。
色々な音があちこちから聞こえてきますが、どこか静けさを感じるのは何故なのでしょうか。自然は不思議なものですね。
山道にはこんな看板が木の幹に引っかかっている。道が合っているか不安になった時、コイツがたまらなく恋しくなる。
(;^ω^)道合ってたお...よかった...
( ^ω^)人気のない町なんだお
( ^ω^)お、あそこに休めそうなところが
( ^ω^)また山道になりそうだし、ちょっと休憩していくかお
( ^ω^)他のお遍路さんも、多分ここで休んでたんだろうな
( ^ω^)しかし、こんなところにも人は住んでるのかお
( ^ω^)車がないと生活難しそうだお
( ^ω^)ま、それはワイの地元も同じだけど
9:11
小休憩を終え、アスファルトの道がしばらく続いていきます。
この先に待ち構えるは鴇田峠(ひわだとうげ)。地図で見たところそこそこキツそうな峠ではあるのですが、頂上手前までは舗装路が敷かれているみたいなので一安心です。
9:41
( ^ω^)お、ここで一旦山道に入るのかお
( ^ω^)キリッ さてさて...行きましょうかね
(;^ω^)ヒー! だいぶ登ったお!
(;^ω^)まだまだ頑張るお...!
10:13
山道を抜けると再び町が広がります。
建物が見えると安心しますね。人の温もりを感じるってヤツです。
山間にある名前も知らぬ町ですが、穏やかな空気が漂っていて好きになりました。
まだ誰にも会っていないんですケドね。
峠は残り1、2kmくらいからが本番。
( ^ω^)次のお寺まで6kmか...
( ^ω^)ようし、気張っていくお!
( ^ω^)っと、その前に栄養補給だお
( ^ω^)いくさんから頂いたカロリーメイト!ありがたいんだお! ムシャムシャ!
おばちゃん「こんにちは〜!お遍路さんですか!」
( ^ω^)あ、ハイ!そうだお!
山道のすぐ横にある民家に住む方が、声をかけてくれた。
おばちゃん「暑いけん、これ飲んでください!」
( ^ω^)え!いいんですか!ありがとうございます!
おばちゃん「しかしお兄さん、虫凄いですね...w」
(;^ω^)あ、これ(メマトイ)ですか?ホント参っちゃうんだお...w
おばちゃん「虫除けスプレーあるので、ちょっとそこに立ってくださいw」
( ^ω^)ありがとうございます!w シュー
ドネルケバブのようにクルクル回りながら、おばちゃんから虫除けスプレーを吹きかけられます。これで幾分か虫がいなくなってくれたらありがたい。
おばちゃんに感謝を伝え、いよいよ山道に入っていきます。
10:58
( ^ω^)よっしゃ!こっからだお!
( ^ω^)鴇田峠...かかってこいお!
(;^ω^)ジャングルですやん
(;^ω^)道はどこ?
あまりにも酷い遍路道にフツフツと笑いが込み上げてきました。
雪道を歩くように大股で地面を踏みつけながら歩き、蜘蛛の巣を慣れた手つきで振り払っていきます。
草木がこれでもかというほど纏わりついてきますが、なんのその。初めはただ耐え忍ぶことしかできなかった僕の貧弱な精神も、この状況を幾分か楽しめるくらいには成長したみたいです。
11:18
こんな山道が大勢の人に使われていたのか。昔のじっちゃんばっちゃんは一苦労だ。
(;^ω^)ハヒー! 峠の最高地点に辿り着いたお!
(;^ω^)さてさて!あとはゆっくり下るだけだお!
森林の中に歌声が響く。観客のいないコンサートのようだ。
( ^ω^)贅沢なハイキングなんだお
( ^ω^)幸せ幸せ フフフ...
( ^ω^)あそこが久万高原町かお?
( ^ω^)思ってたより大きな町なんだお
下り道沿いに並ぶ民家を横目に、町の中心部へと下りていきます。
峠を乗り越えたという達成感が心をじんじんと温め、景色がいつも以上に輝いて見えました。
12:19
この町にも祭りの空気が漂っている。
ちょうどお昼なので、ここいらでお昼にしましょうか。
地図にスーパーがあったので、とりあえずそこを目指します。
( ^ω^)到着〜!よし、腹ごしらえだお!
( ^ω^)いただきまーす! ガツガツムシャムシャ!
。゚(゚^ω^)゚。 コーラが沁みる...沁みるお! プハー!
屋台が見当たらないので、祭りは明日以降でしょうか。
残念な気持ちもありますが、先を急がねばなりません。
千と千尋の神隠しみたいなところ。橋を渡ったらここ(現世)には戻って来れなさそうな雰囲気を感じる。
(;^ω^)つ、ついに44番...!
(;^ω^)ようやくだお...ホント長かったお...
( ^ω^)感慨深いものがあるお...
( ^ω^)お、そろそろ山門だお...!
四国八十八箇所霊場巡礼
第四十四番霊場:大寳寺(だいほうじ)
44/88
13:03
でっかい山門だ。わらじも巨人サイズ。
( ^ω^)着いたおー!!!!!
( ^ω^)ついに半分...これで折り返しか...
43番明石寺から3日。約100kmほど歩きついに辿り着くことができました。
この距離は岩本寺・金剛福寺に次いで、四国遍路の中で2番目に霊場との距離感が長いそう。
さてさて、四国遍路の折り返し地点であるこの霊場に、ありがたく納経して参りましょう。
・・・
( ^ω^)納経も無事終わったし、後半戦も気合い入れて頑張るお!
(;^ω^)って、いきなり山道ですか...
( ^ω^)たまにはトンネルじゃなくて遍路道を歩いてみるお!
( ^ω^)こうやって試練を自分に課すのも、立派な遍路精神なんだお!wwwww
14:04
大人しくトンネル潜れば良かった。
(;^ω^)あっちぃお... ミーンミンミン
(;^ω^)今日はあと一つお寺に行かないとだから、急がないとだお
( ^ω^)だいぶ高いところまで登ってきたんだお
( ^ω^)登ったり下ったり、ホント忙しいお
人里まで下りてきました。ここから45番『岩屋寺(いわやじ)』に向かうため、再び山道を通ることになります。
ですがその前に、ちょっと寄る場所があるんですヨ。
14:27
( ^ω^)ふぅ〜着いたお!
( ^ω^)今晩はここのお宿に厄介になるお!
( ^ω^)すみませーん!電話したおいかわだお!
実は鴇田峠(ジャングル)を超える前に、こちらの八丁坂さんに電話をしていました。お遍路を半分達成した自分へのご褒美ってヤツです。
それと、岩屋寺に行った後はまたここまで帰って来なくてはならないので、そういう意味でも宿を確保できると色々安心なんです。
( ^ω^)今日は岩屋寺まで行きたいんですけど、納経時間までに間に合いますかね?
お姉さん「今からなら間に合うと思いますよ!」
( ^ω^)ホントかお!
お姉さん「あと荷物はウチに置いていって構わないので、身軽な格好で行ってきてください!」
( ^ω^)ほ、ホントかお!!!
( ^ω^)それじゃあお言葉に甘えて...行ってきます!
お姉さん「行ってらっしゃい!」
軽い、軽い、軽ぅ〜い!!!!!
体に翼が生えたかのような軽い足取りで、ひょいひょいとスキップ感覚で歩けてしまいます。
この1ヶ月間、重たい重力トレーニングをしていた事実に改めて驚き、自分の体じゃないようなふんわりした気分に酔いしれながら、夏を駆け抜けていきます。
( ^ω^)ひゃっほーい!!!
( ^ω^)この軽さ、病みつきになるおwwwww
( ^ω^)毎日こうやって歩けるなら最高なんだけどなぁ
( ^ω^)お、ここから山道か
( ^ω^)だが!翼の生えた今のワイを拒めるものなど存在しないおwwwww
( ^ω^)フハハハハハ!!!
この動き、この速さ。
歩き遍路の猿とは、まさに今の僕のことです。
風を切るような速度で山道を一筆書きに駆けていきます。
( ^ω^)シュタッ ほう...弘法大師はこの八丁坂を修行に適した場所だと...
( ^ω^)確かに重しを外したこのカラダでも、少々堪える峠だおね... ムキッ
( ^ω^)しかーし!これまでの峠を乗り越えてきたワイならモーマンタイだお!
いつもなら1分に一度休憩しなくてはならない激坂も、今なら2分に一度の休憩で済みます。ハハ、重力トレーニングの効果スゴいや。
呼吸を整え汗ばむ体に鞭打ちながら、じりじりと森の中を進んで行きました。
四国八十八箇所霊場巡礼
第四十五番霊場:岩屋寺(いわやじ)
45/88
16:08
(;^ω^)うっしゃー!着いたお!
(;^ω^)宿から片道1時間半ってとこかお...
(;^ω^)荷物を置いてかなかったら、多分間に合わなかったおね
( ^ω^)立派なお堂だお
ゴツゴツとした岩壁に圧倒される。霊場の中でも屈指の迫力だ。
( ^ω^)こりゃスゴいところだお...
( ^ω^)ハッ 時間もないし納経しないとだお
納経後、祠のような場所があったので入ってみることに。
室戸岬の近くにあった御厨人窟(みくろど)も、確かこんな感じの雰囲気だったような気がします。
中は非常に暗く、ライトを付けないとまともに前が見えません。
この闇と涼しさがそう感じさせるのか、終始厳かな雰囲気が漂っていて、なんだか別の世界に来てしまったかのような孤独と恐怖が背筋をつたいます。
(;^ω^)こ、怖いお...
(;^ω^)奥まで行ったらすぐ出よう、そうしよう。
( ^ω^)そうしたら帰るか
( ^ω^)帰ったらご褒美が待ってるおー!
岩屋寺は車で来たとしても30分ほど階段を登らされる過酷な霊場でして、これから納経するであろうお遍路さんと何人かすれ違いましたが、皆一様に歪めた顔をしていました。
場所も辺鄙なところにあるため、お越しの際は時間と覚悟を持っていらしてください。なーに大丈夫。ちょいとばかり汗だくになるだけです。
( ^ω^)岩屋寺おしまい!
( ^ω^)あとは平坦な道を歩くだけだお!
早く帰りたくて、大股歩きで宿まで帰る。
( ^ω^)荷物も全然重たくないし、最高の散歩道だお
( ^ω^)車通りも全然...というか全くないお
( ^ω^)静かでいいおね
紫陽花の花言葉の一つには「辛抱強さ」がある。今の状況にぴったりだ。
( ^ω^)お、季節外れの紫陽花だお
( ^ω^)朝の紫陽花に始まって、夕方の紫陽花に終わる...
( ^ω^)風情があるおね
18:08
( ^ω^)やっと着いたおー!
( ^ω^)ただいまだお!
おじさん「おかえりなさい!」
・・・
さて、それでは本日泊まる部屋とのご対面といきましょうか。
この日のために今日1日...いや、この3日間頑張ってきたと言っても過言ではありません。
ドキドキ、ワクワク。
( ^ω^)FOOOOOOO!!!!!
( ^ω^)最高ジャマイカwwwww
( ^ω^)そしたらまずは風呂に...
溶けてしまいそうだ。
( ^ω^)FOOOOOOO!!!!!
( ^ω^)最高っ!最高だお!!!!!
( ^ω^)風呂は命の洗濯だお!!!
( ^ω^)ガツガツムシャムシャ!
( ^ω^)んめっ!んめぇー!!!
( ^ω^)ガツガツムシャムシャ! うどんも最高だお!
( ^ω^)こりゃ米が止まらん!おかわりだお!
・・・
20:06
温かいお風呂に入って、美味しい食事をたらふく食べられて幸せです。
洗濯も済ませたのであとはもう眠るだけ。それにしても今日は疲れました。
明日も峠越えがあるので、体をしっかりと休めなければいけません。
日記を書いたりして時間を過ごしていると、岩屋寺で納経した時にいただいたものを思い出しました。
『我が身をつねって他人の痛さを知れ。』
今ならこの言葉の意味や想いが、少しだけわかるような気がします。
人は、人に支えられなければ、生きていくことはできない。
また、人を支えることが、回り回って自分を支えることにつながる。
人の痛みを知り、人に寄り添う心を持つということが、人間において大切なことなのだと、そう深く思います。
明日も、明後日も、お遍路が終わっても、僕は誰かに支えられて生きていくでしょう。できることは小さく少ないですが、そんなできることを、これからの人生を通してしていきたいものです。
・・・
27日目終了です。
それでは次回のブログでお会いしましょう。ではまた。
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